どうも! 吉田航基(@hiyoko_tabi)です。
今回は、「壮絶な体験」を追体験できる7冊の本をご紹介していきます。
ふと人生に疲れた時に読めば、あらためて「生きていることの幸せ」に気づくことができますよ
壮絶な人生を追体験できる7冊
これから僕がご紹介する7人は全員、「社会や時代の逆らえない流れ」に翻弄された結果、壮絶な人生を闘い抜いた方々です。
もしも今、逆境に苦しんでいる方がいらっしゃったら、何かの参考になるかもしれません。きっとこれらの方々よりも酷い目にあっている方はそういないでしょうから…
今回は、歴史上の人物から、存命している方まで幅広くご紹介しますよ!
脱出記
まずご紹介したいのが、この「脱出記」です。
この小説の見どころは、「脱獄シーン」よりもその後の「冒険」にあります。
でもこの小説は違うんです。
六人の仲間を見つけて脱走したものの、近くにあるモンゴルや中国は全てソ連の息がかかっているため、なんとシベリアからイギリス領インドを目指しユーラシア大陸を縦断する必要があるんです。
そしてかかった期間、なんと1年間!
僕は面白すぎて、一気に読み終えました!
ただ、一番衝撃なのがこれがノンフィクション小説だということです。
こんな衝撃的な話、もっと仰天ニュースなどで紹介されてもいいのに…。
たった一人の30年戦争
僕が今回一番オススメするのが、この「たった一人の30年戦争」です。
この本の見どころは2つあります。
まずは小野田少尉の「死生観」です。
私は戦場での三十年間、「生きる」意味を真剣に考えた。戦前、人々は「命を惜しむな」と教えられ死を覚悟して生きた。
戦後、日本人は「命を惜しまなければいけない」時代になった。何かを「命がけ」でやることを否定してしまった。覚悟をしないで生きられる時代は、いい時代である。
だが、死を意識しないことで、日本人は「生きる」ことをおろそかにしてしまってはいないだろうか。
突然戦後30年の日本に帰ってきた小野田少尉には、戦後の人間が「生きること」をばかにしていると映ったのかもしれません。
今まで僕は、戦前は「命が軽かった時代」と考えていましたが、間違っていたのかもしれません。現代こそ「命を粗末に扱っている」時代のように思えてきました。
もう一つの見どころは、鈴木紀夫青年との友情です。
ルバング島で一人闘っていた小野田少尉の基に興味本位で現れた青年、鈴木紀夫。
日本の終戦を信じない軍人と、屈託のない戦後生まれの青年との友情が、数年後に近くの米軍基地に突撃して人生を終える予定だった小野田少尉の「生還」を実現させたのでした。
大黒屋光太夫(上・下)
この本は本当に素晴らしい。。
大黒屋光太夫って名前、聞いたことありませんか?
1792年ロシアの使節であるラスクマンが来航した。大黒屋光太夫らの漂流民を送り返すことには成功したが、通商要求は幕府によって拒否された。
高校の日本史の教科書には、こんな感じでちょびっとだけ載っています。
大黒屋光太夫とか、なんかダサい。。とか思ったそこのあなた!
名前はちょっと古臭いですが、この人の生涯はめちゃくちゃ面白いんですよ!
カムチャッカ半島に漂着した大黒屋光太夫は、ボロボロになりながら10年かけてロシア帝国の首都「サンクトペテルブルク」まで辿り着き、女王エカチェリーナ2世に謁見します。
その後なんとか日本まで送り届けてもらうのですが、なんと17人いた船員は10年後に江戸に戻る頃には2名になっています。それくらい壮絶な旅でした。
ただの商人だった大黒屋光太夫は、ロシア語の読み書きを覚え、女王に謁見し、江戸に戻ってからは11代将軍徳川家斉にも謁見して、西洋学者の仲間入りを果たします。この激動の人生はまさに圧巻です。
個人的な見どころは、当時の日本人が目にした恐るべき大自然のシーンです。
- 夜が存在しないヤクーツクの白夜
- 辺りが真っ黒になるシベリア湿地帯の蚊の大群
- 数分間寒気にさらされただけで片足切断となる冬
- キラキラと輝く大都会のサンクトペテルブルク
見たことのない人、文字、そして恐るべき大自然。
鎖国の日本から飛び出した彼らが、どんな思いで「世界を」生き抜いたのか。必見です。
ロシアってなんか怖い…というイメージを持たれている方は、この本を読めばロシア人の優しさに気がつけるかもしれません。
椿と花水木
こちらも江戸時代のお話。ジョン万次郎の伝記です。
土佐国中ノ浜村の貧家に生まれた万次郎は、ある日、乗り込んだ漁船が遭難、太平洋の無人島に漂着する。百数十日後、大海原に船影が――。それは、生まれて初めて目にする異国船の異容な姿であった。幕末動乱期に活躍した国際人・ジョン万次郎の波瀾の生涯を描く壮大な歴史ロマン。
少年ジョン万次郎は、船が難破して100日間の漂流の後アメリカの捕鯨船に拾われます。
その後捕鯨船の船長の養子となり、アメリカで高等教育を受け、世界中の海を捕鯨船に乗って航海します。その後カリフォルニアのゴールドラッシュでお金を貯めて自力で船を購入して日本に帰国します。超タフネス…。
これ、何がすごいって、アメリカで普通に学校に行ったりしていますが、江戸時代のお話ですからね!?
当時の日本で外国で高等教育まで受けた挙句、世界中を旅してから帰ってきた奴なんて一人もいないんです。
「万次郎は大船を操り世界の七つの海を航海できると申すが、まことであったのう」「土佐の漁師の倅が勉学いたせしとて、何ほどのことがあろうと思いましたが、私どもはとても及びませぬ。なかなかの逸材にございますなあ。」
沢庵と高弟たちは、万次郎と数度の会合を重ね、アメリカ会員組合の一等航海士の実力がどれほどのものかを知らされた。
個人的な見どころは、万次郎が日本に帰国して幕府の役人に海外事情を説明するシーンです
「それはまことか。大統領が平民と話をいたすか」
… 万次郎はおどろくべき事実を語った。
「フラジデン(大統領)は伴の者をわずかに一人連れ外出いたしまする。私も往来にてフラジデンに行き合い、立ちながら話をいたせしことがございます。」
幕閣の歴々衆は、驚きの声をもらしざわめく。
この記録をまとめた「漂巽紀略」は、その後坂本竜馬に影響を与えたとも言われています。
ジョン万次郎は、日本の未来すら変えた人物なんですよ!
水木しげるのラバウル戦記
ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげるの自伝「ラバウル戦記」もオススメです。
太平洋戦争の激戦地ラバウル。水木二等兵は、その戦闘に一兵卒として送り込まれた。彼は上官に殴られ続ける日々を、それでも楽天的な気持ちで過ごしていた。ある日、部隊は敵の奇襲にあい全滅する。彼は、九死に一生をえるが、片腕を失ってしまう。
この本の見どころは、水木しげると原住民との友情です。
ジャングルを彷徨っていた彼は、なぜか原住民と仲良くなり仲間の一員として、のどかな集落で果物や家を与えられ数ヶ月幸せに暮らします。
マラリアと空爆で片腕失い、栄養失調で死にかけていた直後のシーンなのですが、どこかのどかな雰囲気で描かれており、それが異様であり、いびつだったりします。
「醜い戦争」と「美しい人間の暮らし」が共存するラバウル島。
「人間として生きる」とはなにかを考えさせられる本です。
いま、女として
大韓航空爆破事件の犯人、「金賢姫(キムヒョンヒ)」の手記です。
北朝鮮でスパイ教育を受けた彼女は、1987年に大韓航空爆破事件の実行犯として韓国で逮捕・送還されます。
南朝鮮は「乞食と売春婦が徘徊する地獄」と聞かされていた彼女は、取り調べに対し、嘘をつき続けます。しかしある日、「外出」でソウルのきらびやかな夜景を目にしたことで、少しずつ北朝鮮への忠誠心に疑問を抱いていき…。
この本の見どころは、取り調べを受ける彼女が「外出」と称して、たびたび美しいソウルの街や、近くの田舎に連れて行かれるシーンです。
200人の犠牲者を出した犯人を、そんな簡単に連れ回していいのかと思いたくなりますが、これがきっかけで北朝鮮社会に疑問を抱いた彼女は、少しずつ取り調べに対して真実を語ることとなります。
自動車の波、それは文字どおり、波だった。こんなに広い道をぜんぶ覆ってしまうくらいの多くの車の行列は見たことがなかった。
開いた口がふさがらず、びっくり仰天して車を運転している人たちを注意深く観察した。みんなが外国人ではなく、朝鮮人だった。
またこの手記を読むと、北朝鮮だけでなく韓国という国の見方も少し変わります。
実は数年後、金賢姫はなんと大統領の恩赦により釈放されています。彼女に罪を負わせるのではなく、北朝鮮という国に罪があると考えてのことです。
この本を読むと、当時の韓国社会の彼女に対する様々な優しさを感じることができます。
収容所に生まれた僕は愛を知らない
こちらの「収容所に生まれた僕は愛を知らない」は同じ北朝鮮の本ですが、先ほどの金賢姫とはうってかわって、真逆の立場が描かれています。
北朝鮮のシン・ドンヒョク氏は、労働力確保のため北朝鮮の強制収容所で「表彰結婚」という制度で産まれた。そこは北朝鮮の中でありながら「平壌」「金正日」という当たり前の言葉すら知らない隔絶した世界。
ある日、平壌から来た一人の老人から「鶏肉」の存在を聞かされた時、彼は生まれて初めてここ以外の外の世界があることを知る…。
この恐るべき人権侵害に対して、彼らは完全に無力です。なぜなら「人権」という言葉すら知らないのですから。
この本の見どころは、彼が初めて強制収容所を出て、北朝鮮社会を目にした瞬間です。
- 「自由な社会。まるで夢のようだった」
この言葉の意味はこの本を読まないと絶対にわかりません。世界は見る人によって姿を変える。そんな気がしました。
今人生に悩んでいる方にこそ、この本はオススメです。
こんな地獄でも、彼は「生きる」ことを選びました。
あなたの悩みは、本当に「生きる」ことに絶望するべきことなのでしょうか?
まとめ|壮絶な人生に学ぼう
以上、「壮絶な人生」を送った7人に関する本の紹介でした。
今回の7冊を通じて「生きる」ことについて、見つめ直してみてはいかがでしょうか?